血圧はどのくらいに管理するのがベスト?
おはようございます!
大分寒さも増すと同時に、患者さんの血圧手帳をみると徐々に血圧が上がってきている方も増えてきました。
そこで今回は血圧のコントロールの目標値について説明したいと思います。
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高血圧の治療として、降圧薬を内服されている患者さんが多いと思いますが、血圧はどのくらいに管理するのがベストなのでしょうか?
目標の血圧値の大まかな目安は、若い方は125/75mmHg未満、高齢者は135/85mmHg未満
日本高血圧学会が出している2020年高血圧診療ガイドでは、下記の通り目標血圧値を提示しています。
ここで、診察室血圧は文字通り診察室で測定した血圧、家庭血圧は家庭で測定した血圧です。診察室では緊張して血圧が平常より高くなる患者さんが多いので、血圧の薬の調整は基本的に家庭血圧を優先します。
すると、血圧の目標値を合併症抜きでおおまかにまとめると次のように言い表せます。
血圧は下げすぎても良くない患者さんもいる
では、血圧は低ければ低い程、良いのでしょうか?
実は必ずしもそうではありません。
例えば首の血管や心臓の血管が動脈硬化で細くなっているような患者さんでは、頭や心臓へ行く血流が下がらないように血圧を比較的高めに維持する必要があります。
腎臓の機能が落ちている患者さんでも、腎臓へ行く血流が下がらないようにやはり血圧を高めに維持する必要があります。
また、長い期間血圧が高い状態で過ごされていた方は、臓器が高い血圧の状態に慣れてしまっている為、急激に血圧を下げると臓器へ行く血流も急激に低下して臓器障害を生じる原因にもなります。
特に上に挙げた脳血管障害や腎臓病、冠動脈疾患(心臓の血管が細い)に加えて糖尿病患者さんなどでは、収縮期血圧(上の血圧)が120 mmHgを下回ったら注意が必要と、高血圧治療ガイドラインで喚起されています。
したがって、実臨床では、ガイドラインのみに従った治療をするのではなく、患者さんの背景疾患・バックグランドを全て加味した上で、患者さん毎に適正な血圧目標値を決定すべきと考えています。
ご自身にとって適正な血圧目標値が気になる方は、当院にもぜひご相談下さい。