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医療コラム

期外収縮を認めた場合の当院での検査・治療の進め方|湘南いいだハートクリニック|平塚市の内科(一般内科・循環器・心臓血管)

期外収縮を認めた場合の当院での検査・治療の進め方

こんにちは!

動悸や”脈が飛ぶ”症状の原因精査で24時間Holter心電図を施行すると、期外収縮が見つかる患者さんが多くおられます。

しかし、見つかった期外収縮に対する精査・加療の進め方は、患者さん毎に様々です。

そこで今回は、期外収縮を認めた場合、あるいは健診で指摘された場合に、当院ではどのように検査・治療を進めていくか、説明したいと思います。

期外収縮が見つかったら、症状の確認とリスク評価

 まず、期外収縮が見つかるパターンは大まかに2つです。

健診の心電図でたまたま期外収縮が見つかった場合

 この場合は症状がない場合がほとんどですが、必ず動悸や”脈がとぶ”といった症状がないかを確認します。

 もしそういった症状があれば、期外収縮が原因の症状である可能性がありますので、精査加療を検討します。

動悸や”脈がとぶ”といった症状の原因精査で24時間Holter心電図を施行したら期外収縮が見つかった場合

 この場合は、まずは症状の原因が本当に期外収縮であるかを評価します。24時間Holter心電図の期外収縮の出現タイミング1個1個を見て、症状の出現タイミングと照らし合わせながら細めに確認していきます。

 さらに、期外収縮は、上室性期外収縮と心室性期外収縮の2種類に分類されますので、それぞれの波形や出現パターンなどを見てリスク評価を行います。

 上室性期外収縮は、原則予後には影響しない、つまり怖くない不整脈ですが、日常生活で困るような症状をきたしている場合や高頻度の場合には精査・加療をさらに進めます。特に1日720回、あるいは20連発以上の場合、心房細動(脳梗塞を発症するリスクのある不整脈)を発症するリスクが高いことも報告されており、精査・加療にて異常がなかった場合にも適切なフォローが必要な場合もあります。

 心室性期外収縮は、心臓の怖い病気が隠れている可能性があります。心電図を見れば(医学的には流出路起源や出現パターンを見れば)、その心室性期外収縮が精査を急ぐものか、急がないものか(リスクが高いか低いか)も想定できます。

 このように、まずは症状との関連性、つまり、”患者さんがそれで困っているかどうか”そして”患者さんが今後それで困りうる可能性があるかどうか”という視点から診療を始めます。

具体的な検査の進め方

 期外収縮が見つかった場合には当院では、① 24時間Holter心電図 ② 心エコー検査 を必要に応じて行います。

 ※ もちろん実際にどのように検査を進めていくかは患者さんのご希望に沿う形で相談させていただきます。

24時間Holter心電図

 症状との関連性・頻度・出現パターンを評価する上で必須の検査となります。

 ・ 日常生活で困るような症状の原因となっている場合

 ・ 頻度が異常に多い場合

 ・ 2段脈(2回に1回出現)や連発する場合

 などの場合にはまずは内服加療を検討します。

心エコー検査

 期外収縮のうち心室性期外収縮は、狭心症・心筋症・弁膜症・先天性心疾患・心不全などの心疾患が隠れている可能性があります。

(ただし、特定の期外収縮、例えば右室流出路起源の単発の期外収縮などは病的でないことがほとんどですので、精査を急がないこともあります)

 また上室性期外収縮も高頻度かつ慢性の場合には、それによって弁膜症などが引き起こされている場合などもあります。

 このように、患者さんそれぞれの経過をよく加味した上で、心エコー検査にて、心臓の器質的・機能的異常が隠れていないかを確認します。

 

 尚、期外収縮の原因には、甲状腺機能亢進症などの内科疾患が隠れている可能性もありますので、当院では採血検査も同時に行っております。

具体的な治療の進め方

お薬での治療

 期外収縮のお薬は大きく分けて2つ。

 β blockerとⅠ群抗不整脈薬が一般に良く用いられます。

 期外収縮の発症機序を考慮した特効薬は存在しませんが、β blockerは心室性期外収縮を減らし、症状を軽減させることが多いのが実感です。

 β blockerはカルベジロール(アーチスト)とビソプロロール(メインテート)が主に用いられます。両者の代謝経路などを加味し、患者さんの背景疾患も考慮していずれを選択するかを決めています。

 Ⅰ群抗不整脈薬は、ピルジカイニド(サンリズム)やフレカイニド(タンボコール)が良く用いられます。上室性期外収縮はβ blockerの効きが悪いことも多い為、Ⅰ群抗不整脈薬から開始することもあります。

 また、長期的には、高血圧治療薬でかつ心保護薬のARNI(エンレスト)、糖尿病治療薬でもあるSGLT2阻害薬といった薬も、期外収縮の減少を期待でき、そういった多角的な観点からも内服加療を検討します。

※  近年心不全治療薬の救世主として登場したARNIは致死性の心室性不整脈や心室性期外収縮を減らすというエビデンス(証明された効果)があります。SGLT2阻害薬も致死性の心室性不整脈や心房細動の新規発症を減らすというエビデンスが報告されています。SGLT2阻害薬が期外収縮を減らすというエビデンスはまだありませんが、患者さんによっては心臓の負荷を軽減することで二次的に期外収縮を減らす効果が期待されます。

 

原因となりうる生活習慣の改善

 期外収縮の素因があるとしても、それが増えるトリガーは別個に必ず何かしら存在します。

 疲労や不眠、精神的ストレス、喫煙や飲酒、カフェイン摂取過多など、原因となりうるものがないかは確認が必要です。

 

心エコーで心臓の病気が見つかった場合

 心エコーで心臓の病気が見つかり、それが期外収縮の原因である可能性がある場合には、根本の心臓の病気への治療が必要になります。

 この場合には、基幹病院への速やかな紹介も行います。

 

 当院では期外収縮に対して上記の通り、精査・加療を進めております。

 健康診断で期外収縮が見つかったけど受診した方が良いのか迷ってる、期外収縮と言われたことあるけど昔の話なのでまた調べてもらいたいなど、どんな質問でも構いませんので、お気軽にご相談下さい。

コメント

  • 柳 祐次 より:

    初めまして、器質的異常無しの心室性期外収縮が有ります、3900発位有りました。自覚症状有りで不快です、現在循環器内科で、アジルバ、ビソプロロール5ミリ、メキシチール150㍉1日三回服用していますが、脈飛びの自覚症状はかわりません、医師は気にしないのが一番と言われますが、、質問なのですが、現在服用している薬の他に、少しでも改善の可能性の薬等有りますか?宜しくお願いいたします。

    • 湘南いいだハートクリニック 院長 より:

      初めまして!
      ご質問ありがとうございます。
      自覚症状が強い場合には治療対象となりますが、内服加療開始後に頻度自体が減っていないのであれば薬剤抵抗性の可能性はあります。
      治療法の選択肢としては、心室性期外収縮が症状の原因になっているのであれば、さらに下記が挙げられます。

      ① 現在内服中のビソプロロールを増量する。ただし、ビソプロロールを導入した時に効果が少なからずあったかどうかや、体格、現在の脈拍なども考慮されます。

      ② おそらくビソプロロールの効果が乏しい為にメキシチールが導入された経過かと思います。大抵はこれで少なからず頻度は減るはずですので、これで効果が乏しい場合(薬剤抵抗性の場合)は基本的には原疾患精査を優先するべきかと考えます。基幹病院で冠動脈CTや心臓MRIなどは精査されておりますでしょうか(心エコーで器質的異常がないと評価されても、それだけでは十分評価しきれない場合もあります)。

      ③ ②の薬物治療については、メキシチールに変えてピルジカイニド・フレカイニド・アプリンジンや、場合によってはジソピラミド・シベンゾリンなどが選択肢として挙がりますが、やはりその前に②の精査を優先すべきかと思います。また、最終手段としてカテーテルアブレーションという選択肢もありますが、他の不整脈に比較して成功率は一般に高くありませんので頻度のみを考慮すると適応にはなり難いかもしれません。

      ④ 心室性期外収縮が増えているトリガーが日常生活にないか考える。この辺りは実際に問診・診察しないと分からない点も多いですし、見過ごされやすい点でもあります。

      心室性期外収縮はその波形や発生パターンでもリスク評価が異なりますが、頻度そのものは非常に多いというわけではないので、かかりつけの先生は”気にしないのが一番”と言われたのだと思います。
      症状経過や心電図・Holter・心エコー所見をさらに詳細に知らないと、これ以上のことはなかなか言及し難いですが、かかりつけの先生も循環器内科専門であればしっかり考えて治療方針を立てられていると思いますので、一度疑問・質問をぶつけてもらうと良いのではと思います!

  • 柳 祐次 より:

    お世話になります。
    以前のコメントの続きですが、12誘導心電図検査で医師から詰まりが有るかもと言われて、精密検査をしました、心臓エコー、造影剤心臓MRI、造影剤心臓CT、4つの検査で12誘導心電図と心臓MRIで異常所見が出まして、心臓カテーテル検査をしましたが異常無しでした。医師から心臓の筋肉がもりもりで血管が押し潰されていると言われました。なので前から服用しているビソプロロールを継続して飲みましょうとの事でした。今までトライアンドエラーでお薬を試しました、安定剤、ロトリガ、サンリズム25㍉頓服で飲みましたが効果なし、煎じ漢方、降圧剤、今お世話になっています循環器の先生はメキシチールなら出せますと、他の不整脈の薬は副作用がと、不整脈専門医は頓服ならサンリズム、プロノン等のんでも大丈夫ですよと言って頂きましたが、本人の辛さ次第、一人の有名な不整脈専門医に先生が同じ状況なら不整脈の薬飲みますねと回答でした、飯田院長のブログで糖尿病のお薬で期外収縮が減少する可能性が有ると書いて有り、大変興味を持ちました、askドクターで質問すると、糖尿病のお薬で期外収縮が改善するエビデンスはないと、、心不全には効くと、可能性が有るなら試してみたいと思います。

    • 湘南いいだハートクリニック 院長 より:

      ご返信ありがとうございます。
      しっかり精査してもらっているとのことで安心しました。
      “筋肉がもりもり”というのは肥大型心筋症でしょうか。実際に期外収縮波形や心臓そのものをエコーで見てみないとこれ以上のアドバイスが難しいのが事実ですね。。
      SGLT2阻害薬については期外収縮を減らすというエビデンスはありませんが、実臨床では心負荷がかかって心室性期外収縮が増えているような患者さんでは、SGLT2阻害薬による心負荷軽減作用によって、二次的に心室性期外収縮を減らすことは十分”期待”できます。
      ただし、これも患者さん毎に丁寧に診療した上で本当にメリット・適応があるか評価することが大前提となります。先生によっても治療の進め方や考え方は様々ですので、悩んでおられるのであればその想いをかかりつけの先生にとことんぶつけてみるのが一番良いのではないかと思います!

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