ヘッダー画像

医療コラム

令和6年4月より、高血圧の診断基準が変わった?|湘南いいだハートクリニック|平塚市の内科(一般内科・循環器・心臓血管)

令和6年4月より、高血圧の診断基準が変わった?

 こんにちは!

 6月1日より全国の病院・クリニックで、診療報酬改定が運用開始されております。

 当院でも、今回の改定の大きなポイントの一つである生活習慣病療養計画書の作成に伴い、診療が押すことが想定されますが、院長は待ち時間が少しでも短くなるよう、トイレに行く間も惜しんで診療に励んでおりますので、何卒ご理解・ご協力いただけますと幸いです。

 では、今回は、最近患者さんから「高血圧の診断基準が変わったので、薬を飲まなくても良いのではないですか?」という質問を受けるようになりましたので、その誤解を解きたいと思います。

高血圧の診断基準の変更ではなく、未治療の患者さんの受診勧奨基準への注目と強調

協会けんぽの受診勧奨基準

 先に結論から説明しますと、高血圧の診断基準に変更はありません。

 今回の誤解騒動の発端として、協会けんぽ(全国健康保険協会)が定める、”未治療”の患者さんの「血圧値に応じた医療機関の受診勧奨基準が160/100mmHg以上」である点が、過度に注目された可能性が考えられます。

 この協会けんぽの受診勧奨基準は、以降に説明する「標準的な健診・保険指導プログラム」の受診勧奨基準と比較すると、少なからず緩和された基準設定に見え為、この差異が今回の誤解の要因となったようです。

※ 協会けんぽ=中小企業の社員や扶養されているご家族が加入している健康保険のことです。同加入されている方に費用補助の出る協会けんぽ実施の特定健診・生活習慣病予防健診がここでの話となります。

※ 尚、”協会けんぽの従来の受診勧奨基準が140/90mmHg以上であった為、そこからの引き上げが今回の誤解につながった”という情報発信が多いですが、協会けんぽによると、平成25年度より現在に至るまで、この血圧値に応じた協会けんぽの受診勧奨基準(160/100mmHg以上)に変わりはないとのことです。

 

特定健診の一部の受診勧奨基準が過度に強調 

 令和6年4月より、厚生労働省による「標準的な健診・保険指導プログラム」が一部改訂されました(第4期へ移行)。

 そこでは、特定健診等における”未治療”の患者さんの「血圧値に応じた医療機関の受診勧奨基準」について下記の通り医療機関の受診を推奨しておりますが、この血圧の点については平成30年度版の「標準的な健診・保険指導プログラム」と見比べても従来と変わりはありません。

① 収縮期血圧(上の血圧)が160以上 or 拡張期血圧(下の血圧)が100以上

すぐに医療機関の受診を

② 収縮期血圧が140以上160未満 or 拡張期血圧が90以上100未満

生活習慣を改善する努力を1ヶ月間した上で、”改善しない場合には” 医療機関の受診を

 

 日本高血圧学会は、今回の誤解騒動の要因として、この「標準的な健診・保険指導プログラム」における「すぐに医療機関の受診をすべき」血圧基準が強調された為、と説明しております。

 協会けんぽも特定健診の費用補助を行っており、厚生労働省による「標準的な健診・保険指導プログラム」に則って生活習慣病の予防指導を行っていますが、協会けんぽの受診勧奨基準は、”結果的に”、この「すぐに医療機関の受診をすべき」血圧の基準を抽出し強調した形となっており、この差異が今回の誤解につながっているようです(誤解騒動の出所は協会けんぽ側も分からないそうです)。

高血圧の診断基準も目標値も従来と変わらない

 一方で、日本高血圧学会は、高血圧の診断基準も目標値も、以前と変わりはないことを改めて発表しております(高血圧の診断基準につきましては、こちらでも説明しております)。

 例えば、診察室血圧 150/90mmHgの患者さんは、以前と変わらず高血圧と診断されます(正確には家庭内血圧基準も満たせば)。

 この150/90mmHgという血圧値の場合、協会けんぽ健診の医療機関の受診勧奨基準には該当しませんが、厚生労働省による「標準的な健診・保険指導プログラム(特定健診等)」でも、日本高血圧学会による「高血圧治療ガイドライン」でも、いずれにせよ高血圧の診断基準を満たし、下げた方が良い血圧と記載されている点に変わりはありません。

 したがいまして、今回注目された受診勧奨基準については、あくまで未治療の患者さんを対象としたものとなります。

 今まで高血圧の治療を受けていた患者さんが、急に血圧の薬を中止あるいは減量したり、これまで取り組んでいた減塩や運動を減らして良いという促しではありませんので、これまで通り、生活習慣病の改善に取り組んでいきましょう!

※ 当記事は患者さんへの分かりやすさを最大の優先事項として説明しております。

 実臨床(当院)では、ガイドラインの数値一辺倒ではなく、患者さんの背景疾患や生活背景等を加味して、血圧の目標値やコントロールを患者さん毎に考え治療しております。

※ 本記事は7月2日協会けんぽに直接確認できた情報を元に、一部更新しております。

コメントを書く

メールアドレスが公開されることはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

最近の投稿

人気記事

  • 表示数

  • 月別アーカイブ