心房細動とは?
こんにちは!
暑さも大分増してきており、熱中症で来院される患者さんも増えてきました。
脱水は不整脈のトリガーにもなりますので、室内は涼しく、また外出する際は失われた水分はしっかり補給するようにしましょう!
では今回は、脳梗塞を発症するリスクがあることでテレビでも度々取り上げられる心房細動という不整脈について説明したいと思います。
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心房細動とは、心臓の一部である心房からの不規則な電気信号の発生によって、心房が痙攣したように震えることで起こる不整脈です。
発症すると急に脈が速くなり不整になる為、動悸として自覚されることが多いですが、全く症状がなく、健診で偶然見つかるような患者さんもいらっしゃいます。
心房細動は器質的な異常のない患者さんにもしばしば認めますが、原因があるならば根本から対処するのが基本ですので、原因疾患を探すことは必須と言えます。
したがって当院では、心房細動の患者さんに出会った場合、まず「患者さんの全体像を把握」することから始めています。
心房細動の原因
心房細動の原因としては、
A)心臓病
B)生活習慣病(特に高血圧症)
C)その他
の大きく3つに分類すると分かりやすいです。
いつものようにこれら3つの原因について、まずはイラストで分かりやすさを優先にまとめてみました。
そこでこのイラスト図をもとに、それぞれの原因について次に説明していきたいと思います。
心臓病
心房細動の原因として最も多いのは心不全です。
心不全によって心臓に負担がかかると心房細動を発症しやすくなりますが、心房細動そのものも心不全を誘発する為、実臨床では、「心不全→心房細動」か「心房細動→心不全」か分かりにくいケースもしばしば出会います。
また弁膜症、特に心房に負担がかかりやすい僧帽弁狭窄症や僧帽弁閉鎖不全症では、心房細動を発症するリスクが高まります。
その他に、心筋症、特に肥大型心筋症や拡張型心筋症でも、心房細動を発症するリスクが高まります。
心筋梗塞含む虚血性心疾患については、それ自体が心房細動の原因になることは稀で、心臓の機能が低下してきた後に心房細動を発症するのが自然な流れとなります。
さらに、弁膜症・心筋症・虚血性心疾患のいずれもが原因となって心不全を発症し、その結果として心房細動を誘発することもあり、これらいずれの病態も密接に関わりあっていると言えます。
いずれにしても、原因となる器質的心疾患自体が修復されれば心房細動の治療効果が高まりますので、心房細動が初めて見つかった患者さんでは、心エコーでの精査は必須と言えます。
生活習慣病
心房細動の原因として、生活習慣病は最もくせ者です。
実際、心房細動の患者さんの約60%以上に高血圧、約20%に糖尿病が合併していたという報告もあります。
また、収縮期血圧(上の血圧)が120mmHg以下の患者さんでは心房細動の発症率は極めて低く、130mmHg以上になるとその発症率は約2倍、140mmHg以上になると約3倍に上昇したという報告もあります。
高血圧や糖尿病といった生活習慣病は、いずれ心臓に拡張障害をきたし、心臓がかたくなります。すると、じわじわと心臓(心房)に負担がかかるようになり、いずれ心房細動を発症する温床となり得ます。
したがって、このような患者さんでは、心房細動そのものの治療以上に、背景となる生活習慣病のコントロールが優先すべき治療となります。
その他
その他の心房細動の原因として、甲状腺機能亢進症などもあります。
見過ごされやすい疾患でもある為、抜かりなく原因を探すことが大切です。
心房細動は今ではカテーテル治療という根治療法も普及していますが、原因が改善しなければ再発を繰り返す場合もありますので、当院では必ず原因精査を行っております。
心房細動が新規に見つかった患者様や、長期間心房細動と付き合ってきたが原因がいまいち分からないといった患者様などいらっしゃいましたらお気軽にご相談下さい!