コレステロールが高いってどういうこと?
こんにちは!
通院中の患者さんの中には既にコレステロールのお薬を内服されている患者さんも多いですので、今回はコレステロールや中性脂肪の基準値についてお話したいと思います。
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脂質異常症とは、コレステロールや中性脂肪の値が異常値を示すことをいいます。
コレステロールには、悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールと、善玉コレステロールと呼ばれるHDLコレステロールがあります。以前は「高脂血症」という病名でしたが、この善玉コレステロールは「低」い方が悪い状態を指しますので、「脂質異常症」という病名に変わりました。
コレステロールが高いとは?
一般に言われる「コレステロールが高い」という表現は、悪玉コレステロールであるLDLコレステロールが高いことを指します。LDLコレステロールは、余分なコレステロールを血管の壁に沈着させることで動脈硬化を引き起こす強力な要因となり、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞や脳出血、閉塞性動脈硬化症など、様々な臓器の血管が狭くなったり詰まったりする病気を引き起こします。
一方で、善玉コレステロールであるHDLコレステロールは、血管内にたまったコレステロールを肝臓へ戻すことで動脈硬化の進行を予防しますので、逆に低い(少ない)値の場合には動脈硬化を引き起こす要因になります。
また、中性脂肪はコレステロールとは別の物ですが、LDLコレステロールの味方、HDLコレステロールの敵として働きます。したがって、中性脂肪もまた高い程、動脈硬化を引き起こす要因となります。
「コレステロールが高い」の基準値は?
では実際には、どの値から「コレステロールが高い」と言われるのでしょうか。
日本動脈硬化学会からのガイドラインでは下の表の通り、脂質異常症の診断基準を示しています。
健康診断やかかりつけでの定期採血時などにこの項目をチェックしてみると病気への関わり方がまた一つ変わるかもしれません。
L/H比にも注目してみて下さい
実は、脂質異常症の診断において、「LH比」という項目も重視されています。
「LH比」とは、「LDLコレステロール÷HDLコレステロール」で計算される値で、当院の採血ではA.I.(動脈硬化指数)という項目に反映されています。
例えば、LDLコレステロールが135 mg/dL、HDLコレステロールが45 mg/dLの場合、それぞれの値は脂質異常症の診断基準を満たしませんが、「L/H比」は135÷45=3.0になります。「LH比」が3.0というのは下の表の通り、動脈硬化が進んだ非常に危険な状態ですので、早期の治療介入が必要ということが分かります。
「LH比」はLDLコレステロールとHDLコレステロールのバランスをみた指標になりますので、それぞれ単独の数値を見て安心するのではなく、このような多角的な視野から脂質コントロールの状態を知ることも非常に大切と言えます。
コレステロールの値が少しでも気になるという方は、いつでもご相談下さい!