頸動脈エコーで動脈硬化の評価を行えます
- 2023年12月10日
- 当院で行っている検査
こんにちは!
いよいよ年の瀬も迫り、今年も残りわずかとなりました。
すっきりした気持ちで新年を迎えられるよう、不安な症状がある患者様は遠慮なくご相談下さい!
では今回は、動脈硬化の評価に役立つ検査の一つとして、こちらで血圧脈波を紹介しましたが、もう一歩進んだ検査として頸動脈エコーも当院で行っておりますので、紹介したいと思います。
動脈硬化の評価の意義
高血圧・脂質異常症・高尿酸血症・糖尿病といった生活習慣病は、下に示したイラスト図の通り、全身に動脈硬化性病変をきたし、心臓や脳・腎臓などの全身の臓器の循環障害をもたらします。
したがって、動脈硬化症を未然に防ぎ、再発を予防する為の検査として、“動脈自体を詳細に観察できる”頸動脈エコーは非常に有用と言えます。
頸動脈エコーで分かること
頸動脈エコーで分かることは、大きく下記3つに分類されます。
① IMT:内膜及び中膜の厚み
② プラークの性状:内膜及び中膜の表面に突出する1.1mm以上の隆起性病変
③ 狭窄病変の狭窄率
それぞれ、説明したいと思いますが、まずはイラスト図で分かりやすくまとめてみましたので、参考にしてみて下さい。
では、それぞれについて詳しく説明していきたいと思います。
IMT
IMTは、内膜及び中膜、いわゆる”血管の壁”の厚みのことを言います。
IMTは厚い程、心筋梗塞や脳梗塞を発症するリスクが高いと報告されています。
特に総頚動脈(首の一番太い動脈)の最大IMTが0.1mm厚くなると、心筋梗塞を発症するリスクが11%、脳梗塞を発症するリスクが18%増加するという報告もあります。
したがって、IMT値は、将来、心筋梗塞や脳梗塞を発症するリスク評価に用いることができます。
さらに、生活習慣病のお薬での治療により、IMTの肥厚の進展を抑制したという報告も認めており、生活習慣病の治療を行っている患者さんでは、治療効果の判定としても用いることができます。
プラークの性状
プラークとは、内膜及び中膜の表面に突出する1.1mm以上の隆起病変を言います。
1.5mm以上のプラークを認める場合には、プラークの大きさ、表面や内部の性状、可動性など、さらに細かく評価を行います。
特に、可動性プラーク(動くプラーク)、低輝度プラーク(エコーで黒く映るプラーク)、急速に拡大するプラークなどは、脳梗塞発症リスクが高いとされており、慎重なフォロー、場合によっては治療が必要になる場合もあります。
狭窄病変の狭窄率
動脈硬化性病変が進行し、一部狭窄してしまっているような場合には、その狭窄率(血管の狭さの度合い)を評価します。
特に狭窄率が70%以上(70%以上狭くなっている)の場合や、症候性(ふらつきやめまいなど)の場合には、治療が必要になる場合もありますので、慎重に評価を行います。
頸動脈エコーは、低侵襲(体に傷をつけない)かつ簡易に、動脈硬化を詳細に観察できる非常に優れた検査です。
当院では、生活習慣病のある患者様や、ふらつきやめまいなどがあり、首の血管が細くなっていないか心配といった患者様などに、希望があれば、積極的に頸動脈エコーを行っております。
少しでも興味がある場合には、ぜひ一度お声がけ下さい!