大人向けRSウイルスワクチンについて
- 2024年8月10日
- 予防接種,5. RSウイルスワクチン
こんにちは!
熱中症で点滴を要する患者さんが増えておりますので、細めな水分補給や室内気温の適切な調整などに努めましょう!
では今回は、2023年9月に”高齢者向け”として初めて承認されたRSウイルスワクチンについて説明したいと思います。
RSウイルスとは?
RSウイルス感染症は、一般に乳幼児の呼吸器感染症として知られていますが、大人にも感染することがあります。
特に、高齢者や、心疾患・喘息などの肺疾患などの基礎疾患がある方、免疫機能が低下している方が感染すると、重症化しやすく、肺炎を引き起こすリスクが高いことが知られています。
日本では、高齢者の年間 63,000人の入院と4,500人の死亡につながるとの推計もあり、大人も無視できない非常に重要な感染症の一つとなっています。
どのように感染するの?症状は?
コロナ同様、飛沫感染で広がります。
従来は秋~冬にかけて流行するのが特徴でしたが、最近では夏~秋に流行することが多くなっています。
症状は、発熱や咳などの上気道症状が主に出現し、乳幼児は2歳までにほぼ100%の子が1度は感染すると言われています。
しかし、保育園・幼稚園で勤務されている方や、お子さんをお持ちのご家庭など、大人でも感染する可能性は十分ありえますので注意が必要です。
治療法は?
RSウイルス感染症に特効薬はありません。
したがって、各症状をやわらげる治療(対症療法)を行います。
逆に言えば、肺炎など一旦重症化すると根本治療がありませんので、治療に難渋することも少なくありません。
ちなみに、診断の為の抗原検査は大人では保険適応がありません。これは、根本治療がない為、診断の意義が乏しい点と、大人では抗原検査の精度が低いことが理由です。
RSウイルスワクチン:アレックスビーが登場
このようなRSウイルスに対する”一般成人向け”のワクチンは、これまでありませんでした。
しかし、2023年9月にアレックスビーと呼ばれる”高齢者向け”のRSウイルスワクチンが認可され、注目を浴びました。
接種によるRSウイルス感染症の予防効果は、60歳以上の方で82.6%、基礎疾患のある60歳以上の方では94.6%と高い効果が報告されおります。
アレックスビーの接種が望まれる方
アレックスビーの接種対象者は、60歳以上の全ての方となります。
その中でも特に推奨されるのは、下記の基礎疾患をお持ちの方となります。
既に説明の通り、特効薬のないRSウイルス感染症に対して、非常に高い予防効果が報告されておりますので、特に重症化しやすい基礎疾患をお持ちのご高齢の方は、ぜひ接種しておくことを推奨致します。
RSウイルスワクチンを接種しようか悩まれている60歳以上の患者様は、ぜひ一度当院にご相談下さい!