狭心症や心筋梗塞を疑う症状がある場合に行う検査と治療
- 2022年9月29日
- 循環器疾患,5. 狭心症・心筋梗塞
残暑の残る頃から徐々に寒くなっていき気温差が大きくなり始める季節になりました。
今回は、前回の狭心症・心筋梗塞のシリーズの続きとしての検査・治療法について説明したいと思います。
*********************************************
狭心症や心筋梗塞を疑う症状がある場合には、当院では以下に説明する検査を行い、異常所見があれば連携病院へ迅速に紹介致します。
当院で行う検査
心電図検査
心電図は、患者さんの胸と手足に電極を付け、心臓の電気的な活動をグラフの形に記録するものです。
心筋梗塞を発症すると、典型的な波形の変化を認める為、それをもとに、血管の詰まった部位を推定できます。
心エコー
心エコーは、超音波(エコー)を用いて心臓の動きを直接探る機器です。狭心症や心筋梗塞を発症すると、心臓の動きが低下します。心電図や採血の検査よりも早く異常が出てくる為、初期の発見に非常に有用です。ベッドの上で寝たまま受けることができる負担のかからない検査です。
胸部レントゲン
胸部レントゲン検査は、X線を当てて心臓の画像を直接写し出す検査です。狭心症や心筋梗塞などにより心不全状態に至っていると、心臓の陰影が拡大したり、肺に水がたまっている画像が写し出されます。
採血
心臓に直接関連した採血項目として、トロポニン・CK・NT-proBNPがあります。
トロポニンは、急性心筋梗塞のマーカーとして頻用されており、90%以上の精度で心筋梗塞の診断が可能です。
CK(CPK)も代表的な心臓マーカーの一つです。急性心筋梗塞を発症すると、まずトロポニンが上昇しますが、その後、数時間経過してからCKが上昇してきます。CKがどの程度上昇したかで、心筋梗塞によって心臓の筋肉がどの程度傷害を受けたかを推定することが可能です。
NT-proBNPは心不全の病態を知る為のマーカーですが、狭心症や心筋梗塞を発症し心臓に負担がかかるとやはり上昇してきます。症状が出る前から上昇することが多く、心臓の機能低下の早期発見に役立ちます。
大きな病院で行う治療
連携病院へ紹介後、追加検査にて狭心症や心筋梗塞と診断された場合には、多くの場合、心臓カテーテル治療が行われます。
心臓カテーテル治療とは、カテーテルという細い管を手や足の動脈に入れ、心臓の血管の細くなっている部位あるいは詰まった部位まで持っていき、カテーテルの先端に装着したバルーン(風船)とステント(筒状になった網目の金属)を膨らませることで、再開通させる治療です(下のイラスト図)。
体にメスを入れるわけではない為、外科手術に比べ体の負担が軽いのがメリットです。
ただし、心臓の血管の根本が詰まっていたり、3本ある心臓の血管の全てが細いあるいは詰まっている場合には、冠動脈バイパス手術と呼ばれる新たな血管(バイパス)を繋ぐ手術が行われることもあります。
冠動脈バイパス手術にもいくつかの手術の方式がありますので、担当の先生にしっかり説明を受けた上で手術に臨むようにしましょう。
当院では、心臓カテーテル治療後、心臓外科手術後の心エコー含めた定期的なフォローアップも可能ですので、ぜひ一度お声がけ下さい!