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医療コラム

冠攣縮性狭心症、及び微小血管狭心症の治療薬とは?|湘南いいだハートクリニック|平塚市の一般内科・循環器内科・心臓血管内科

冠攣縮性狭心症、及び微小血管狭心症の治療薬とは?

 こんにちは!

 運動にはちょうど良い季節になってきましたね!

 院長が趣味で育てているクワガタも、ようやく冬眠から目覚め、活発に動く姿を見て癒されています。

 では、今回は、安静時の胸痛は冠攣縮性狭心症や微小血管狭心症かもしれないの記事で、冠攣縮性狭心症 及び微小血管狭心症について、病態から原因、診断法まで説明しましたが、ここでは具体的な治療薬について説明したいと思います。

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 冠攣縮性狭心症については、治療薬が比較的確立しておりますが、微小血管狭心症については、まだ機序そのものが不明な点も多く、治療法が十分確立しておりません。

 しかし、先の記事でも説明の通り、日本人の場合、微小血管狭心症も冠攣縮性狭心症と同様に血管攣縮の関与も多いと示唆されており、実臨床では、冠攣縮性狭心症に準じて治療を行うことが多くなります。

 また、発作の頻度が多かったり、程度が強い場合には、心筋梗塞へ移行する場合も皆無ではなく、治療薬について患者さん毎に適切なものを選択していくことは非常に重要です。

 そこで下記に、両狭心症によく用いられる治療薬を簡単にイラストでまとめましたので、まずはこちらを参考にしていただきながら、読み進めていただけますと幸いです。

Ca blocker

 冠攣縮性狭心症では、第一選択として用いられることの多い効果の確立した薬です。

 実臨床では、強く疑われる場合に、診断的治療目的に開始されることもあります。

 Ca blockerは高血圧症にも多く用いられる薬ですが、なかでもヘルベッサー(ジルチアゼム)・コニール(ベニジピン)・アダラート(ニフェジピン)が、両狭心症の治療薬として用いられます。

 ヘルベッサー・コニールはアダラートより狭心症発作予防の効果は弱めですが、降圧作用が低めという特徴があり、普段の血圧などをみていずれの薬を選択するか決めております。

 また、既に高血圧症でお薬を内服中の患者さんでは、高血圧の薬そのものをこれらに変更して、降圧と狭心症予防の両者の効果を兼ね備えるという治療法の選択肢もあります。

 尚、微小血管狭心症では、Ca blockerが効きにくいこともある為、次に説明する別のタイプの狭心症薬を検討することも少なくありません。

Kチャネル開口薬

 心臓の血管を拡張させる薬です。

 Ca blockerとは作用機序が異なる為、Ca blockerでも効果が乏しい場合に用いることが多い印象です。

 また、Ca blockerと比較して、血圧や心拍数に影響を与えることが少ない為、普段から血圧や脈拍数が低い方にも使いやすいという特徴があります。

 一方で、他の狭心症薬と比較して、頭痛を引き起こしやすく、使えない場合も少なくありません。

 臨床的には、ニコランジル(シグマート)が用いられます。

硝酸薬

 ニトロと同様のタイプの薬で、ニトロが良く効く場合に追加導入することがあります。

 ただし、長期に使うと耐性がつきやすい(効きにくくなる)などの理由で、第一選択とはなっておりません。

 具体的には、アイトロールやフランドルテープ(貼付剤)などがあります。

 長期間の使用が見込まれる場合には、耐性を考慮し、症状の強い時間帯に合わせて内服や貼付をするよう配慮することが多いです。

脂質異常症薬

 動脈硬化が進行していると発作が起きやすいという報告もあり、高コレステロール血症に対して用いられるスタチンというタイプの薬や、中性脂肪の治療薬であるエパデール(イコサペント酸エチル)が、発作予防に効くとする報告もあります。

漢方

 上記狭心症に効いたと症例報告されている漢方がいくつかあり、上記治療薬が効きにくい場合や患者さんがご希望される場合などに導入しております。

 

 冠攣縮性狭心症も微小血管狭心症も、上記治療薬が奏功する場合が多くあります。

 また、治療薬が効きにくい場合は、根本原因となっているストレスや喫煙など、別の観点からのアプローチが奏功する場合もあります。

 当院では多角的な視点で治療を行っておりますので、上記狭心症の治療薬でお悩みの方がいらっしゃいましたら、一度ご相談下さい!

コメント

  • まぐろてすく より:

    18歳男です。3日ほど前に病院で心電図を測った際、心筋梗塞の疑いがあり、大きい病院に緊急搬送されました。血液検査などの検査を行った結果、異常なしだったのですが、生まれて間もない頃川崎病になり、約5年間かけ治療した過去があったため、心臓カテーテルを行い精密検査を行いました。結果としては、心臓の大きな血管には異常が見られなく担当してくださった医師の方からは「細い血管の方で異常があるのかもしれないが、基本的には問題ない。だが冠攣縮性狭心症の可能性が無いとは言いきれないため念の為薬を処方する。」と診断されました。
    それからベニジピンを服用しているのですが、不安な面が拭いきれず、今日新たに背中に痛みがあったため余計不安になってしまいました。
    私自身受験が控えているため、今後約半年間この症状が続くと考えると不安で仕方がありません。ネットの記事を見ると、生活習慣やストレスを溜め込まないことが大事と目にすることが多く、ストレスの面は特に気になってしまいます。今後この症状がさらに悪化してしまう可能性はあるのでしょうか?長文失礼しました。

    • 湘南いいだハートクリニック 院長 より:

      初めまして!
      ご質問ありがとうございます。
      一般的に、冠攣縮性狭心症の症状の程度や経過・薬の効き具合などは、患者さんによって様々ですので、いただいた情報のみで一概に判断することは難しいのが現実です。
      ただし、現状は3日前からの経過のようですので、主治医も「その症状が本当に冠攣縮性狭心症による症状かどうか」不明瞭なのが本音なのではないかと愚考致します。
      ベニジピンも始めたばかりだと思いますので、急がずにまずは「ベニジピンが効くかどうか」を見ながら、今後の経過について主治医と相談いただくのが良いと思います。
      “不安”は負の循環を生み出しますので、”不安な点”はとことん主治医に聞いてみるのが良いと思います!

      ※ 当コメントは、いただいた情報に対する”一般論”としてご回答しております。治療方針等につきましては、”必ず”近医または主治医の指導を仰いでいただきますようお願い致します。

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