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医療コラム

息切れの原因は?|湘南いいだハートクリニック|平塚市の内科(一般内科・循環器・心臓血管)

息切れの原因は?

  おはようございます!

  開院して早くも1週間が経ちました。

  様々な症状で受診される患者さんが増えてきましたが、今回はその中でもご相談の多い「息切れ」について取り上げたいと思います。

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「最近、歩いていても息切れがする」と感じることはないでしょうか。

 慢性的な息切れの原因は、A) 心臓の病気 B) 肺の病気 C) その他 の大きく3つに分類すると分かりやすいです。さらに、A)、B)、C)の内訳として頻度の高いものを下にまとめてみました。

 やはり、心臓の病気は怖いものが多いのが実感です。そこで、1つ1つ詳しく説明していきたいと思います。

心臓の病気

心不全

 心不全とは、何かしらの原因で心臓の機能が低下している為に、徐々に体に水が貯まってくる状態のことを言います。多くの場合、初期症状として「体重が増えてきた」「むくみが出てきた」と感じられる方が多く、進行してくると息切れや、夜間に咳が出たり寝苦しくなるという症状が出てきます。

 脚のむくみは、両側に同程度に生じ、靴下のあとが残ったり、指ですねを押さえた後に離すと指のあとが残る(pitting edema)のが特徴的です。

 心臓超音波検査や胸部レントゲン・採血などによって診断可能で(当院でも施行可能です)、治療は利尿薬などを用いて体に貯まった水分を取り除く治療から開始します。

狭心症

 動いた時の胸の痛みを「息切れ」と感じられる方が時々います。この場合、安静にするとすぐに症状が消えるという特徴があります。狭心症は心筋梗塞にも移行しうる怖い病気ですので、兆候があれば早めに精査をした方が良いでしょう。

不整脈

 不整脈が起きた時に「息切れ」として自覚される患者さんがいます。そのような患者さんは、脈をとってみると速かったり脈がとんでいたということで相談されるケースが多いです。診断は1日心電図をつける24時間Holter心電図などによって行います(当院でも施行可能です)。不整脈の中には脳梗塞のリスクとなる怖い不整脈もありますので、必ず念頭にいれておくべき鑑別疾患の1つになります。

 

弁膜症

 心臓には4つの弁があり、弁が開いたり閉じたりすることで効率よく心臓から全身へ血液を送り出しているのですが、その弁がうまく開いたり閉じたりできなくなると、「息切れ」を感じることがあります。程度によっては手術が必要になる場合もあります。心臓超音波検査によって診断可能です。

肺の病気

肺気腫(COPD

 肺胞と呼ばれる肺の組織が壊れていき、徐々に呼吸機能が低下していく病気です。重度喫煙者に多いのが特徴です。咳や痰がからむという症状を伴います。呼吸機能検査などによって診断し(当院でも施行可能です)、治療は吸入薬で行いますが、重度の場合は、ステロイド投与や在宅酸素療法(HOT)を行う場合もあります。

気管支喘息

 心不全に症状が似ており、夜間に咳が出たり寝苦しくなります。また「ヒューヒュー」という呼吸音が聴こえるのが特徴的です。呼吸機能検査などによって診断し、治療は吸入薬、あるいは吸入できない幼児はネブライザー吸入を行いますが、程度によってはステロイド投与などを行います。小児では一過性に終わり大人になれば認めなくなる例も多いです。

肺炎・肺結核

 肺炎は比較的急激に発症することが多いのですが、慢性的に認める肺炎もあります。肺が固くなる間質性肺炎や肺結核などです。間質性肺炎は聴診音が「パリパリ」聴こえること、肺結核は血痰が出ることなどが特徴的です。痰の検査や胸部レントゲン、CTなどによって診断します。

肺がん

 肺がんは存在する部位によっては、気管支を閉塞することで息切れの要因になることがあります。胸部レントゲンやCTで発見されるか、血痰や息切れなどの症状で発見されることが多い印象です。

気胸

 肺に穴があいて空気が漏れ出てしまうことで呼吸が苦しくなります。若い男性に多く、比較的急速に発症します。治療は胸腔ドレーンという管を入れて漏れ出た空気を抜く治療を行います。

その他の病気

肺血栓塞栓症

 肺動脈という肺の血管に血のかたまりが詰まり、肺での円滑な酸素の入れ替えができなくなってしまう病気です。深部静脈血栓症(俗にいうエコノミー症候群)と呼ばれる足の静脈に血のかたまりができて、その血のかたまりが肺にとんで発症することがほとんどです。

 先天的な原因で生じることもありますが、多くは、整形外科の手術前後で脚を動かさない期間が長期間に及んだり、ご高齢の方で横になっている時間が長くなった場合などに生じます。

 深部静脈血栓症は静脈の超音波検査によって診断可能です。肺血栓塞栓症は心臓超音波検査や心電図・採血によって疑い、診断は胸部CTや肺血流シンチという検査によって行います。治療は血をさらさらにする薬で血のかたまりを溶かす治療を行います。

貧血

 貧血も組織での円滑な酸素の入れ替えができなくなり、「息切れ」の要因になります。貧血の怖い原因として、消化管出血がありますので、貧血が進行している場合には便に血が混じっていないか検査を行い(肉眼では見えない血の成分を感知します)、混じっていれば内視鏡検査を行います。

甲状腺ホルモン異常

 甲状腺ホルモンは人のエネルギーの一旦を担うホルモンです。したがって、甲状腺ホルモンの機能が亢進しても低下しても「息切れ」を生じる要因になります。採血にて甲状腺ホルモン値に異常があれば、さらなる原因精査を行い、内服治療から開始します。

クループ症候群

 のどが腫れることで「息が苦しくなる」風邪の一種です。6ヶ月から3歳の小児に多く発症します。犬が吠える声に似た呼吸音やしわがれ声、「ぜぇぜぇ」した呼吸をすることが特徴的です。重度の場合には、アドレナリンの吸入を行い、ステロイドを投与することもあります。急変するリスクのある病気ですので兆候があれば早めに相談しましょう。

下肢筋力低下

 ご高齢になり脚の筋力が急激に低下してくると、歩く際に息切れを自覚される場合があります。この場合には、リハビリと食事療法(十分なカロリー・蛋白摂取)によって筋力を底上げすることが最大の治療策になります。

 

息切れの鑑別・治療はこれまで専門に行ってきた分野でもありますので、ぜひ一度ご相談下さい。

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