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医療コラム

動悸の原因は?|湘南いいだハートクリニック|平塚市の内科(一般内科・循環器・心臓血管)

動悸の原因は?

 10月に入り、インフルエンザワクチン・オミクロン株対応ワクチンの接種が始まりました。

 65歳以上の患者さんは10月中旬以降にインフルエンザワクチンの接種券が届きますのでご持参下さい(予約は前もっていつでも可能です)。

 オミクロン株対応ワクチンの接種券も同時期頃から届きますが、従来の接種券でも接種可能ですのでご相談下さい。

 では今回は、相談のある症状として増えてきました「動悸」の原因について説明したいと思います。

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「最近、どきどきすることがある」と感じることはないでしょうか。

 動悸の原因としてまず考えなければいけないものは不整脈になります。動悸を感じる不整脈は、さらに期外収縮・上室性頻脈・心室性頻脈の3つに大きく大別されます。一方で、不整脈以外にも動悸を感じうる病気もありますので、そういった病気の可能性も念頭に原因を探していくことになります。

 動悸の原因となる主な病気を下にまとめてみました。

 不整脈は場合によっては脳梗塞や心不全・心停止などを起こしうるものもありますので、動悸を感じる場合には必ず精査が必要です。では、1つ1つ説明していきたいと思います。

不整脈

 不整脈を見つけるには、1日心電図をつける24時間ホルター検査と呼ばれる検査を行います。その検査で下記のような不整脈が見つかれば、個別に精査・治療を進めていくことになります。

期外収縮

 もっともありふれた不整脈で、健康診断でもよく見つかることが多い不整脈です。

 正常の電気刺激のルートから外れた部位から別の電気信号が発生する為に、「脈が飛んだ」とか「胸が一瞬ドキッとした」というように自覚されることが多い不整脈です。ストレスや疲労、睡眠不足やカフェインの取りすぎなどによって起こることもあります。

 不整脈の薬でまずは治療を行いますが、薬への反応が乏しく、かつ症状が強い場合には、カテーテルアブレーション治療にて根治を図ることもあります。

上室性頻拍

 心臓の上の部屋である心房という部分が関与する不整脈で、発作性上室性頻拍・心房細動・心房頻拍・心房粗動にさらに内訳されます。

「突然脈が速くなり、数分~数時間続いた後に突然元に戻った」というように感じられる患者さんが多いですが、命にはかかわることは基本的にありません。ただし、心房細動という不整脈は脳梗塞を発症するリスクのある不整脈ですので、リスクの低い患者さん以外は脳梗塞予防に原則血をさらさらにする薬を飲んでもらいます。

 治療はやはりまずは不整脈の薬で行いますが、ほっておくといずれ心不全などのリスクにもなってくる為、最近はカテーテルアブレーション治療を早めに行うことが多いです。

心室性不整脈

 心臓の下の部屋である心室という部分が関与する不整脈で、心室頻拍・心室細動にさらに内訳されます。心臓が止まってしまうことがほとんどなので緊急を要する不整脈ですが、時々、失神やふらつき、動悸として自覚される患者さんもいます。狭心症や心筋梗塞などの心臓の病気が隠れていることも多いので精査が必要になります。

 治療は根本の原因治療に加えて不整脈の薬で行いますが、それでも反応が乏しい場合はカテーテルアブレーション治療を考慮することもあります。

その他の病気

肺血栓塞栓症

 肺動脈という肺の血管に血のかたまりが詰まり、肺での円滑な酸素の入れ替えができなくなってしまう病気です。深部静脈血栓症(俗にいうエコノミー症候群)と呼ばれる足の静脈に血のかたまりができて、その血のかたまりが肺にとんで発症することがほとんどです。

 先天的な原因で生じることもありますが、多くは、整形外科の手術前後で脚を動かさない期間が長期間に及んだり、ご高齢の方で横になっている時間が長くなった場合などに生じます。

 深部静脈血栓症は静脈の超音波検査によって診断可能です。肺血栓塞栓症は心臓超音波検査や心電図・採血によって疑い、診断は胸部CTや肺血流シンチという検査によって行います。治療は血をさらさらにする薬で血のかたまりを溶かす治療を行います。

貧血

 組織での円滑な酸素の入れ替えができなくなる為、その分、心臓が頑張って血液を送り出そうとして脈が速くなります。

 貧血の怖い原因として、消化管出血がありますので、貧血が進行している場合には便に血が混じっていないか検査を行い(肉眼では見えない血の成分を感知します)、混じっていれば内視鏡検査を行います。

甲状腺機能亢進症

 甲状腺ホルモンは人のエネルギーの一旦を担うホルモンです。したがって、甲状腺ホルモンの機能が亢進していると脈が速くなり「動悸」を感じる要因になります。甲状腺ホルモン値に異常があれば、さらなる原因精査を行い、内服治療から開始します。

褐色細胞腫

 カテコラミンと呼ばれるホルモンが異常分泌される病気です。動悸だけでなく、高血圧・頭痛・汗をかくなどの症状が現れます。腎臓の上にある副腎と呼ばれる臓器にできる腫瘍が原因で、ほとんどは良性ですが、10%程度は悪性のものも含まれますので、治療はまずその精査から始まります。

低血糖

 血糖値が下がると、体での正常な代謝が行えなくなり、様々な症状を呈します。動悸だけでなく、冷や汗やふるえ、吐き気から始まり、重度になるとめまいや脱力・眠気・意識障害・痙攣なども起こすことがあります。治療は糖分を摂取すれば良いので意識があればあめ玉をなめてもらうだけでもすぐ治ることが多いです。症状が出る程の低血糖を起こす場合、何かしらの原因があると考えられますので、その原因を調べる必要があります。

心不全

 多くの場合、「体重が増えてきた」「むくみが出てきた」と感じられる方が多く、「動悸」を感じられる頃には大分悪化してしまっていることがほとんどです。進行すると、息切れや、夜間に咳が出たり寝苦しくなるという症状が出てきます。心臓超音波検査などによって診断可能で、治療は利尿薬などを用いて体に貯まった水分を取り除く治療から開始します。

薬剤性

 意外に盲点となることも多い原因の1つです。最近新たに始めた薬があれば、それが原因の可能性もあります。サプリメントなど内服している場合は、必ず担当の先生にその旨を伝えましょう。

脱水、感染

 脱水や感染では、体内の有効な水分量が減ってしまう為、心臓が組織に足りない血液をより送り込もうとして脈が速くなり、「動悸」を感じる原因になります。原因を見つけ出し治療することが根本的な解決策になります。

不安神経症、更年期

 不安神経症や更年期による動悸であるかどうかを確定することは難しいことが多いので、上に挙げたような「動悸」を生じうる病気を一通り調べた上でいずれも可能性がなければ、問診・診察の上でこれらの可能性を考えることになります。

動悸の鑑別・治療はこれまで専門に行ってきた分野でもありますので、ぜひ一度ご相談下さい。

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