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医療コラム

心不全との付き合い方|湘南いいだハートクリニック|平塚市の一般内科・循環器内科・心臓血管内科

心不全との付き合い方

 開院してから1ヶ月半が経ち、少しずつ心不全患者さんの紹介を受ける機会も多くなってきました。

 そこで今回は前回に引き続き心不全との付き合い方をテーマに説明していきたいと思います。

 尚、当記事を4分程度の動画にまとめてみましたので、もしよろしければ、こちらもご参考にしてみて下さい

※ 無音でご視聴可能な動画となっております。

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 前回の記事で心不全は再増悪を繰り返すうちに徐々に寿命が短くなってしまうことを説明しました。

 したがって、再増悪しないようにセルフコントロールをすることで、より健康な寿命を全うできるようになります。そこで、心不全とうまくつきあっていく為のセルフコントロール法について説明したいと思います。

塩分を取りすぎない

 塩分をとりすぎると、心臓と腎臓に大きな負担がかかり、次第に体に水がたまり、むくみや息切れなどの心不全症状が出てきます。

 したがって、心臓の病気をかかえた患者さんは減塩食に注意を払うことが重要です。

 心不全患者さんの塩分摂取量は、6g/日未満です。通常、日本人の塩分摂取量は10g/日程度と言われていますので、目標を達成するには食事内容に十分配慮しなければなりません。

 減塩療法のこつについては、【高血圧症】減塩療法のこつで説明しますのでそちらをご参照下さい。

 尚、ご高齢で筋肉量が少なく低栄養な患者さん(フレイルと呼びます)は、この限りではなく、減塩食よりもむしろより蛋白とカロリーを摂取する必要がありますので、担当の先生の指導を仰ぎましょう。

水分を取りすぎない

【心不全】心不全ってどんな病気?でも説明した通り、心不全は肺や全身に水がたまる状態のことを言いますので、水分を取りすぎてしまうと心不全が増悪する原因になります。

 テレビでは夏場に「ご高齢の方は脱水になりやすいので水分を多く飲んでください」と説明されることが多いと思いますが、心不全の患者さんはその限りではありませんので注意が必要です。

 適正な水分量は、患者さんの心臓や腎臓の状態、体格などによっても変わってきますので、担当の先生に聞いてみるのが良いと思います。

 経験的にはおおよそですが、小柄な高齢女性の方は11.2L/日前後、通常体型の高齢男性の方は1.5L/日前後の水分摂取量が適正であることが多いです。※ 汗をたくさんかいた場合などはこの限りではありません。

感染予防を心がける

 心臓の病気をかかえた患者さんは、ばい菌感染してしまうと心臓がたえきれなくなってしまい、心不全が増悪する原因になります。

 したがって、特に手洗い・うがいなどで感染予防に努めましょう。

 また、可能な限り、インフルエンザワクチン、コロナワクチンを接種するようにしましょう。

 また肺炎を引き起こす肺炎球菌ワクチンも65歳以上になれば接種できますので積極的に摂取するようにして下さい。

禁煙・節酒

 たばこは百害あって一利なしですので、必ず禁煙するように努めましょう。

 お酒はアルコール 20g/日までの適量までなら良いと言われていますが、多量の飲酒は水分バランスが崩れ、心不全が増悪する原因になりますので避けるようにしましょう。

 アルコール 20g/日は、具体的には下記に該当しますので参考にして下さい。

  • ・ ビール:中びん1本(500ml
  • ・ 日本酒:1合(180ml
  • ・ ワイン:グラス2杯(200ml
  • ・ ウィスキー:ダブル(60ml)

薬は飲み忘れない

 心臓の病気をかかえた患者さんは、特に飲み忘れによるリスクが非常に高い薬ばかり内服しているはずですので、飲み忘れがないようにしましょう。

 どうしても飲み忘れてしまう場合の対処法として下記のようなものが挙げられますので、担当の先生とも相談してみて下さい。

  • ・ 薬を一方化する(朝の分は朝の分で1つの袋にまとめてもらう)
  • ・ 朝と夕に内服しているものは、朝のみにまとめてもらう
  • ・ ご家族や訪問看護師さんなどに管理してもらう

運動療法

 心臓の病気をかかえた患者さんにとって、運動療法は薬物療法と並ぶ有効な治療法の1つになります。

 ただし、心臓に負担のかからない範囲、つまり有酸素運動を行うことが大事です。

 具体的には、「はぁはぁしない」範囲、「少し汗ばむぐらい」の範囲での散歩を、12030分、週に3回以上することが最終的な目標になります。

 また、ご高齢の方は筋力も弱まってしまいますので、脚の屈伸運動などご自宅でもできる筋力トレーニングから少しずつ行うようにすることも重要です。

 運動療法は、心臓の機能を高めることもたくさん報告されていますのでぜひ積極的に取り組むようにして下さい。

 

コメント

  • さくら より:

    大変参考になりました。末期の心不全は運動も食事も余り出来ないのですが、何か出きることかありますか?安静にするしかないですか?

    • 湘南いいだハートクリニック 院長 より:

      初めまして!
      ご質問ありがとうございます。
      末期の心不全患者さんは、動くことで状態が悪化する不安や、医療者からの活動制限などで過度に安静になっている場合があります。
      まずは、”ご本人やご家族が希望される日常生活”への実現に向けて、環境調整を行うことが「一般的には」重要です。例えば、ベッドの高さ調整や手すりの設置など、担当の先生やケアマネージャーさんと相談していくことで、QOL改善の一歩につながると思います。
      また、末期の心不全患者さんの症状に呼吸困難感などもあり、こういった症状を緩和させてあげることも重要です。
      呼気を意識した呼吸法や、ご本人が楽に感じる姿勢の調整(ギャッジアップ利用など)、ご本人が心地よく感じる音楽やアロマなどの匂い、風邪を当てたり、足底への圧刺激など症状緩和の為のリハビリテーション法もありますので、一度担当の先生にそういった方法を聞いてみて、日常生活で実践していくのも大きな前進になると思います。
      昨今は、”心不全においても緩和ケアが非常に重要“と注目されるようになっていますので、循環器や緩和ケア専門の先生に相談すれば親身なアドバイスをもらえると思います!

      ※ 当コメントは、いただいた情報に対する”一般論”としてご回答しております。治療方針等につきましては、”必ず”近医または主治医の指導を仰いでいただきますようお願い致します。

  • 岡田晴雄 より:

    慢性心不全の病状を告げられて約1年になります。足のむくみや息切れ、寝てる間の息苦しさが時々あります。この息苦しさを軽減すべく起座位の姿勢でも余り改善無く睡眠不足です。
    改善策が有ればこ教授ください。
    病歴は心房細動による不整脈で心肥大の状況です。血圧は上が120〜140、下が60〜80、脈拍は40〜50です。

    • 湘南いいだハートクリニック 院長 より:

      初めまして!
      ご質問ありがとうございます。
      まずは、夜間呼吸苦が本当に心不全の症状かどうかの評価が必要です。
      起坐位でも”全く”改善しないのであれば、重度の心不全状態か、そもそも心不全由来ではない可能性が考えられます(睡眠時無呼吸など)。
      仮に心不全由来の症状なのであれば、不安定な現時点ではご自身のみでの解決は一般的に困難で、心不全薬の調整が必要になると考えます(安定している心不全状態であれば、減塩や有酸素運動など再増悪予防にご自身で取り組めることはあります)。
      上記踏まえて、再度主治医に相談されることをお勧め致します。

      ※ 当コメントは、いただいた情報に対する”一般論”としてご回答しております。治療方針等につきましては、”必ず”近医または主治医の指導を仰いでいただきますようお願い致します。

  • よし より:

    初めまして
    とても参考になりました

    83才で5月中旬に心不全入院からカテーテル、心タンポナーデ、心膜炎と合併症を起こし、1ヶ月強の入院をし、6月末に退院をしました。
    炎症反応が高かった為になかなか退院できず、抗生剤を中止して少し下がったので、希望退院しました。(10から5まで下がった)その後、1週間後の診査で2まで下がりました。

    現在は自宅療養中ですが、血圧は110/70くらいで、いまだに脈拍は100近くあり測定不可となることもあります。立ち上がり時のめまいがひどいです。それ以外の症状は特に気にならない程度です。
    術後の経過としては、想定内でしょうか?
    症状的には軽度、中等度、末期のどれでしょうか?

    先が見えず気持ちも落ち込んでいます
    この状況がいつまで続くのか不安で仕方ないです
    次の診察までの1分1秒が長く感じます
    食事、薬はきちんと守ってます

    どうかよろしくお願いします

    • 湘南いいだハートクリニック 院長 より:

      初めまして!
      ご質問ありがとうございます。
      心不全を発症するには、必ず心不全を引き起こす何かしらの心臓の病気があるはずです。
      その心臓の病気が何かを知ることから、治療は始まります。
      いくつか具体例を挙げます。

      ① 具体例 1
      「拡張型心筋症を持つ慢性心不全患者さんが、心房細動を発症。心房細動に対してカテーテル治療をしたが、心タンポナーデ・心膜炎を合併症として引き起こし、合併症の治療も要した。」
      →この場合、基盤にある拡張型心筋症の心機能はどの程度か、心房細動は再発はないまま退院となったのか等、今後の治療方針を決める上で不可欠な情報が多々あります。
      ② 具体例 2
      「心筋梗塞契機の急性心不全で入院加療。心筋梗塞に対してカテーテル治療をしたが、心タンポナーデ・心膜炎を合併症として引き起こし、合併症の治療も要した。」
      →この場合、心筋梗塞の治療そのものは成功したのか、残存狭窄病変はあるのか、退院時の心機能はどの程度か等、今後の治療方針を決める上で不可欠な情報がやはり多々あります。

      このように一口に心不全といっても、基盤となる心臓の病気によって治療方針は様々ですので、やはりよしさんのことを最もよく知っている主治医に、不安な点はとことん聞いてみるのが最善策かと愚考致します。

      ※ 当コメントは、いただいた情報に対する”一般論”としてご回答しております。治療方針等につきましては、”必ず”近医または主治医の指導を仰いでいただきますようお願い致します。

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